さよなら事典

演劇をつくること

□ 演技

えんぎ

 

私たちが考えている、さよならキャンプの演技について話したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. 演技を統一する

 

演技と言っても、様々な種類の演技があると思います。ここで言う演技とは、役者の演じ方です。芝居の内容によっても違ってくるし、役者によっても違ってくるし、演出の人によっても違ってくると思います。


以前、演出として一つの芝居に参加した時に、出ていただく役者さん全員に「演技が上手いと思う役者を見つけてきてください。そして、何故その人を上手だなと思ったのか理由を考えてきてください。」という課題を出したことがあります。後日、皆さんに発表してもらうと、上手だと思う役者は被ることがなく、理由も様々でした。つまり上手い演技というもので、誰もが納得する正解はないのだということです。これはやる側も違えば、もちろん観る側も違うと思います。となると、役者はそれぞれが考えている「上手な演技」をする必要がないということになります。役者さんが上手だと思っていても、誰もその演技を上手だと思っていない可能性だってあります。では、役者は何を目指して演技をするといいのでしょうか。


私の考えでは、出ている役者が、全員が納得できる「上手な演技」をすることはできないと思いますが、その芝居の役者たちの間で、演技を合わせることはできると思います。芝居の内容、演出の意図で違ってきますが、一つの芝居を作る中で演技を合わせることは、役者が目指すところだと思っています。何故、演技を統一することが大事かというのは、後ほどお話します。

 

 

二、 演技が上手い、下手とは

 

とは言え、私たちは役者の演技を見て、上手だなあとか、下手だなあと、思うことはあります。そもそも上手な演技、下手な演技とは何でしょうか。下手な演技をしてはいけないのでしょうか。


前述したように、人それぞれ考えが違います。私が考える演技の上手、下手をお話します。戯曲の種類にもよりますが、上手な演技とは「演技をしていない登場人物に見える」。下手な演技とは「演技をしている役者に見える」です。難しい話です。演技をしているのは間違いないのですが、演技をしているように見せない。私が思う上手な演技とは、言ってしまえばそういうことです。


例えば、小さい子供のお遊戯会などは、上手下手とは関係ない世界です。上手下手ではなく、子供が一生懸命やっている姿に感動するのです。しかし、演劇を自発的にやっている大人になると、頑張っている姿を見せることが目標ではなくなります。お客様を楽しませなくてはなりません。では、お客様が芝居を楽しむとはどういうことか。これも様々な考えがあると思いますが、「芝居の中の世界に入り込んでもらうこと」だと思っています。

 

三、 リアルについて

 

先ほど、上手な演技とは「演技をしていない登場人物に見える」ことと言いました。これは演技がリアルであるとも言えます。私があるとき芝居を見ていたんですが、そんな役者を見ました。今、目の前にいるこの人は、本当にそこで生きてるんじゃないか。演じているのではなく、本当に悲しんだり、喜んだりしているのではないか。そんな風に思えてきました。気づくと、芝居の世界に入り込んでいました。芝居を観終わって、これがリアルな演技の力なのかと実感しました。つまり本当に登場人物がそこで生きているようなリアルな演技は、お客様を「芝居の中の世界に入り込んでもらう」力があるということです。

 

 

 

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四、 さよならの演技

 

私たちが目指す演技とは以下のことです。


演技をしていない登場人物に見えること。つまり本当にそこで生きているかのような、リアルな演技を、役者全員で合わせていく。その結果、お客様を芝居の中の世界に入り込んでもらえる。そこを目指していきたいと思います。一で述べました、役者内で演技を合わせていくことも、世界に入り込んでもらうための大事なポイントだと思っています。


あと、リアルな演技とは少し離れるかもしれませんが、笑いやコントの要素も入れていきたいと思っています。これも、世界の中に入るきっかけになると思っています。笑いについては、機会があれば、またお話しします。


大事なことは、どんな演技をするかではなく、お客様を芝居の中の世界に入り込んでもらうためにどうするか。それを目的として掲げて、創作していきたいと思っています。(沼畑)