さよなら事典

人のこと

□ 福岡 利尚

ふくおか としひさ

 

 

旗揚げ公演「さよならの書き方」の出演者、
福岡 利尚さんについてご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

優しい福岡さん

 今回ご紹介するのは、「彰五」役の福岡利尚さんです。福岡さんは、「福井の福岡」という名前で、朗読や、弾き語りなどの表現をされている方です。ただ、演劇の経験は全くありませんでした。私で大丈夫なのかと不安に思われていたので、一度会うことにしました。会ってみると、とても礼儀正しく、他人への気遣いがよくできる、優しい方でした。

 

 彼は子供のころから、吃音を持っていました。発声が主な表現方法である演劇において、吃音がどう影響するかという想いもありましたが、初めてカフェで会った時、僕たちは二時間くらい喋りが止まりませんでした。僕が質問ばかりして、彼にたくさん話してもらうようにしたこともあったのですが、これから演劇をやっていく上で、何も問題はないなと思いました。むしろ、彼にとっても、僕たちにとっても、演劇界にとっても、とてもプラスになるのではないかと考えました。

 

 

表現と福岡さん

 彼の表現との最初の出会いは、音楽でした。中学時代、レスポールスペシャルというギターを購入し弾き始めたそうです。そのころはまだ、人前でやることはありませんでしたが、その後大学に進学して、初めてバンドを組み、人前で演奏をしました。その後も、就職をして働きながらバンド活動をしていたのですが、吃音を馬鹿にされたり、人間関係でうまくいかなくなり、音楽そのものをやめてしまう決意をしてしまいます。そこで、楽器や機材をほぼ売ってしまいます。しかし、人生で一番初めに買ったレスポールスペシャルだけは、売らずに取っておいたそうです。

 

 数年何もしていなかった福岡さんに一つの転機が訪れます。弾かず語りという朗読イベントとの出会いです。そこに出た福岡さんは朗読を披露して、さらにやめていた音楽も復活させることになるのです。

 

 

旅と福岡さん

 朗読で彼が読んでいるのは、旅日記でした。今までいろんな地に足を延ばしたそうです。その時の体験や記憶を旅日記として残して、それを朗読しています。旅行ではなく旅。しっかりした計画を立てずに、ある程度ラフに行くのが彼のこだわりです。人付き合いが苦手でしたが、たくさんの人に会って、段々と苦手ではなくなっていったようです。各地で色んな人に会って、福岡さんの優しさが生まれたのかもしれません。

 

 

さよならキャンプと福岡さん

 「さよならの書き方」を書き終えて男性キャストを探していた時に、表現の世界で信頼している松波哲也さんという方に福岡さんを紹介してもらいました。この方は前述した弾かず語りの主催者でもあります。演劇をやったことはないけどとても興味がある。やりたいという気持ちがある。こちらとしては、その気持ちが嬉しかったです。

 

 劇団として初めの一歩を踏み出す我々と一緒に、演劇の世界に初めの一歩を踏み出そうとしてくれる、その気持ちに感謝しました。まだ、演劇を作っていくことに不慣れではありますが、真剣に考えてもらっているし、自分なりの作り方をしてくれるので、演劇の固定観念にとらわれない、自由な発想がこれからたくさん出てきそうで、楽しみです。こちらも新しいことをどんどん取り入れていきたいなと思っています。

 あと、今はまだ言えませんが、演技以外のこともお願いしようかなと考えています。

 

 福岡さんは、さよならキャンプの大事にしていることに理解を示してくれました。やさしくまじめにたのしい演劇を共に目指してくれます。また、今回の出演のことで、たくさんの人から応援を頂いているそうです。

 

 福岡さんに本番までのことを聞きました。 「初めてなので、とにかく楽しみたい」 この出演をきっかけに演劇をたくさん楽しんでもらいたいと思いました。そして、どんどん表現の世界で活躍してもらいたいと思っています。(沼畑)