さよなら事典

空間のこと

□ 天王山安楽寺

てんのうざんあんらくじ

 

あわら市北潟地区の中心、北潟湖畔に位置するお寺。起源は718年(養老2年)と言われていて、長い伝統を持っています。自然豊かでとっても静かな場所。地区の伝統行事である北潟祭りの会場にもなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

安楽寺の魅力のひみつ

 安楽寺のご紹介にあたり欠かせないのが住職の杉本成範(すぎもと しげのり)さんの存在です。


 杉本さんは兵庫県宝塚市のご出身。2020年4月に福井県に移住し、現在は県内3つのお寺の住職、副住職を掛け持ちしています。檀家数の減少など様々な課題を抱えたお寺を後世に残すため、寺院運営の制度作りや情報発信、新企画の立ち上げなど、新たな取り組みに積極的にチャレンジされています


 例えば精進料理や精進スイーツの体験教室、本堂でのバイオリンコンサートなどお寺の環境や杉本さんのネットワークを活用した企画を開催。2021年からは1日1組限定で宿坊での宿泊受け入れをスタート。檀家さんや地域の方だけでなく、県外の方や普段お寺と関わる機会が少ない方も歓迎されていて、すべての人に開かれた温かい空気が流れています。


 また杉本さんはSNSの活用もお上手で、毎朝フェイスブックやインスタグラムで「朝のお勤めLive配信」をされています。毎朝決まった時間に15分の配信。読経や法話、お寺の取り組みの紹介もあって充実した内容です。しかもご自分で英語翻訳までされていて、外国の方からのフォローがどんどん増えているんだとか。

 

新しいことに素早くチャレンジし、毎日活発に活動している杉本さん。その存在により安楽寺は生き生きと魅力的なお寺となっていると思います。

 

 

 

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 住職 杉本さんと「さよならの書き方」キャストたち(左から3番目が杉本さん)

 

 

 

お借りする経緯

 

 さて、そんな安楽寺を見つけたのは主宰 沼畑。もともとお寺で演劇公演をしたいと思っていてご協力いただけるお寺を探していたところ、知り合いの方から安楽寺のことを教えてもらいました。体験教室や宿泊など活発にチャレンジされていることを知り、お話を聞いてもらえるかもしれない…と可能性を感じた私たちはさっそく電話でアポイントを取りました。そして直接お伺いしてお話を聞いていただくことに。

 

 当日お伺いすると、杉本さんはとても丁寧にあたたかく迎えてくださいました。親身になってお話を聞いてくださって、安楽寺での公演を歓迎してくださいました。私たちも杉本さんのお人柄やお寺の雰囲気を直接肌で感じて、この場所で旗揚げ公演をさせてもらいたい気持ちがぐっと高まりました。それは単純にこの場所を好きになったから、というだけではなく、この場所なら公演を見に来ていただくお客様に楽しんでもらうことができる、と思うことができたからです。

 

 

 

劇場になくて安楽寺にあるもの

 

 さよならキャンプで演劇をつくるにあたり、演劇に触れたことがない方や抵抗がある方にとって、少しでも親しみやすいものにしたいという思いがあります。特にここ福井県は大都市に比べて演劇に触れる機会が少ないので、良くも悪くも演劇が「特別感」のある文化活動になっています。苦手な方は「閉鎖的な世界」とさえ思っているかもしれません。

 

そういった演劇に対するハードルを下げ、多くの人に気軽に観に来ていただきたい。そんな公演をつくりたいと思った時に、安楽寺は最適な場所だと思いました。

 

 

 なぜなら安楽寺には、地域の内外やお寺との関係の有無に関わらず、どんな人でも温かく受け入れようとする風通しの良さがあるからです。お伺いするといつも、ご近所の方や体験教室の参加者の方とすれ違い、こんにちは、と挨拶が起こります。ゆるやかな人の流れを感じ、とっても居心地が良いのです。

 

さらに本堂の一角には、坊守さんが新しく作られたグッズが置かれていたり、昨年開催された「寺コン(バイオリンコンサート)」のポスターが掲示されていたりします。新しいことにチャレンジしようとする前向きな空気がお寺全体に感じられ、訪れた人を明るい気持ちにさせてくれます。

 

 

こういった風通しの良さや明るい空気感は、一般的な劇場にはなかなか生み出せないものです。劇場での観劇にハードルを感じる方や、演劇界に閉鎖的なものを感じる方にも、この場所でならきっと心地よく過ごしていただけるのではないかと思っています。

 

 もちろん、そのためには私たち自身の努力が欠かせません。杉本さんから学び取り、時にはお力をお借りしながら、多くの方に楽しんでいただける公演をつくっていきたいと思います。(山田)

 

 

<参考>

 

天王山安楽寺 公式ホームページ

住職 杉本さんフェイスブック