さよなら事典

演劇をつくること

□ 「さよならの書き方」の舞台美術

「さよならのかきかた」ぶたいびじゅつ

 

旗揚げ公演「さよならの書き方」の舞台美術への思いと、それを叶えるために力を貸してくださった方々についてご紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

制作にあたり考えたこと

 旗揚げ公演「さよならの書き方」の舞台美術は、これまで私たちが経験したものに比べると素朴です。大がかりな道具や高台は置かず、役者が使用する最低限のセットだけを置く。舞台と客席はできるだけフラットな状態にして、それでいて芝居の空間としてきちんと特別感のあるものにしたいと思っていました。

 

 今回の公演は2つの会場で行いますが、そのどちらも、空間そのものが魅力的で何かしらの色味を帯びています。あわら会場の天王山安楽寺(詳しくはこちら)は昔ながらの寺院らしいあたたかみと味わいがありますし、厳かな雰囲気も兼ね備えています。床は畳、柱は木と自然なもので構成されている空間です。

 

 一方でさばえ会場のSCC(詳しくはこちら)はおしゃれで洗練されたイメージ。床はコンクリート張りでひんやりとした印象ですが、こだわって設置された家具や照明、また鯖江のものづくりを代表する眼鏡、繊維、漆器の商品たちが空間の印象をやわらかくしています。

 

 両会場に共通しているのは、人の出入りがあり、新しい風が常に流れていること。こういった空間そのものが持つ魅力を生かすことができる舞台美術をつくりたいと考えました。

 

 

新たなつながり

 こんなイメージはありながらも、それを具体化するには知識も技術も不足していました。どうやって作っていこうか考えていた時、ある人の活動が目に留まりました。山田の大学時代の同級生、黒田悠生さんがこの春から本格始動した取り組み「TONKAN terrace(トンカンテラス)」です。

 

 彼の活動に魅力を感じた私はすぐに連絡を取り、早速話を聞いてもらいました。黒田さんはとても興味を持って私たちの話を聞いてくれ、力を貸してくれることになりました。

 

 

TONKAN terrace(トンカンテラス)とは

 トンカンテラスは福井市高木地区にあるものづくりの交流拠点。かつて建具屋の作業小屋だった場所に3Dプリンターやレーザーカッターを設置しています。他にもDIYに必要な道具や機械を揃えていて、ものづくりしたい人を応援してくれる場所となっています。過去にはレーザーカッターの見学会や3Dプリンターの無料体験会などのイベントが開催され、家族連れや建築家、デザイナーなどいろんな立場の人が集まって交流しています。

 

 黒田さんはトンカンテラスの代表。いろんな機械を活用して新しいアイデアを形にしながら、イベントでものづくりの楽しさを広めたり、新しい出会いを生み出したりしています。

 

 私たちの相談を歓迎してくれた黒田さんは、積極的にアイデアを出してくれたり場所を提供してくれたりして、私たちのイメージをどんどん具体化してくれました。それだけでなく、ものづくりに関する新しい出会いを私たちに提供してくれたのです。

 

TONKAN terraceフェイスブックページ
TONKAN terraceインスタグラム

 

 

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 ▲ トンカンテラスでの作業の様子

 

 

新たな出会い1:CRAFTWORK Co.(クラフトワークカンパニー)

 「舞台美術に使えるものが手に入るかもしれない」と紹介してくれたのが、坂井市丸岡にあるクラフトワークカンパニーです。代表の出水さんに連絡を取ってもらって早速お伺いすると、そこにはたくさんの家具や木材、金物などが所狭しと並べられていました。どれもどこか懐かしく味わいのあるものばかり。とてもわくわくしながら見せていただきました。

 

 クラフトワークカンパニーは、一般的に「廃材」と言われる中古品、リサイクル品を販売したりリメイクしたりして、価値の再生・再発見を目指している団体です。出水さんに概要を伝え、舞台美術の材料に使用できそうなものを教えていただいて、いくつか購入させていただきました。他にも芝居の小道具や大道具に使えそうなものがたくさんあって、私たち芝居人にとってはまさに宝の山。これからもお世話になりたいと思っています。

 

CRAFT WORK Co.ホームページ
CRAFT WORK Co.フェイスブックページ

 

 

新たな出会い2:Re Guild Ayanas(リ ギルド アヤナス)

 舞台美術に布を使ってはどうか?というアイデアが出てきた時に「それなら良い人がいる」と黒田さんが紹介してくれたのがリ ギルド アヤナスさんです。こちらは福井の産業である繊維に着目した団体。福井で作られた布はとても品質が高く、小さなほつれや柄のズレがあると商品として出荷されないそうです。また服を作る時に出るハギレも多いそう。これらの商品にならなかった布地を活用、リノベーションする活動をしているのがリ ギルド アヤナスさんです。

 

 

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▲ アヤナスさんの活動の様子

 

 

 色とりどりのハギレを使ったイルミネーションアートの制作や、学童保育や高齢者施設でのハギレアートワークショップなど、精力的に活動しているアヤナスさん。今回は舞台美術で使用する布を提供してくださり、他にもハギレを使用した沢山のアイデアを提供していただきました。布は福井県で90年以上の歴史を持つテキスタイルカンパニー「広撚株式会社」様から提供されたものとのことです。アヤナスさん、広撚株式会社さん、本当にありがとうございます。

 

 アヤナスさんは私たちの芝居に対して熱心に話を聞いてくださり、よりよい形になるようお手伝いの方法を模索してくださいました。その結果、この芝居に関わるみんなで作りあげるという現在の形を提案してくださり、舞台美術がより奥深いものになりました。

 

Re Guild Ayanasホームページ
Re Guild Ayanasインスタグラム

 

 

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▲ アヤナスさんとの打ち合わせの様子

 

 

たくさんの方とつくりあげる舞台

 黒田さんのご紹介により人と人とのつながりがどんどん広がっています。何より嬉しいのは、演劇に関わる方だけでなく、いろんな立場、分野で活動する方とご一緒できることです。たくさんの方と一緒につくりあげる舞台を多くの方に楽しんでいただけるよう、これからも準備に励みたいと思います。(山田)